ヴァンパイア十字界4-6巻を読んだ感想
3巻の最後で明確になった第3の敵、宇宙人
いがみ合う関係にあったストラウス、ダムピール、ブラックスワンが手を取り合って宇宙人を倒すために、戦うことに
しかしそうはいっても、文字通り手を取り合えるはずもなく、
それぞれの思惑を内に抱えながら、物語は進んでいきます
4,5,6巻では、宇宙人相手に戦うための準備がメインの話になるわけですが、
それと並行して1000年前の出来事に関しても振り返ることになります
ストラウスがブリジットやアーデルハイトとともに過ごした日々
本編が殺伐としている関係なだけに、日常回というか、
ストラウスが穏やかに過ごしている日々が描写されるのがよかったです
そして、ストラウスの最愛の恋人ステラの登場
ブリジットやアーデルハイトからは、何の変哲もない村娘とみられ、
登場時はおっとりしたかわいい子だなあ、ぐらいにしか思ってなかったんですが、
ストラウスの会話のシーンで、
ストラウスは誰よりも大きくて強いから、国やそこに住む民のために大きな思いを持てるといいます
隠れて聞いていたブリジットは、やきもちを焼きながら、それで気の利いたことを言ったつもりか、と陰で思ってるわけですが、その次のシーンで
「でもまあ、私は……それってちょっとつらそうに思えて、なぜかストラウスが疲れてるように見えたんですよね」
ストラウスは何でもできる神様みたいな存在だから、誰もストラウスに対して、心配したり幸福を願ったりしない
誰にも幸せを願われない人は本当に幸せなのか、みんなの幸せを願うばかりで誰からも願われないって、どんなに強くても大変じゃないのか
「だから私は、ストラウスの幸せを願うだけの人になろうかな、と」
「願うことだけは、私がどこにいてもどうなってもできることですから」
「私が死んでも魂はいつもストラウスの幸せを」
「どうかストラウスにはずっといい月がありますようにって」
このセリフと流れに、読んでてハッとなったわけですよ
なんせ作中ではステラが言ってるようにストラウスは完璧超人なんで、
置かれている状況とかもまあ何とかするんだろうと思えるぐらい凄いわけですよ
今までの超人ぶりが、このステラのセリフのためにあったんじゃないかってぐらいです
それを聞いてたブリジットが、
「ステラめ、お前は美しいな。私たちに比べて確かにお前は美しい」
って、完全に敗北宣言ですよ
回想から戻った後も、
「その娘だけが当たり前のように願っていたんだ。当時神の如く見えたローズレッド・ストラウスという人の幸せを」
「そのなんと馬鹿げていて、ストラウスには何より必要なことだったろうかな」
っていうセリフもかなり良かったです
とまあこんな感じで、ストラウスとブリジットとアーデルハイトに関してかなり掘り下げた話がでてくる巻です
4-6巻の間で戦力図というか、宇宙人、ダムピール、人間、ストラウスの立ち位置的なものはほぼ変わらない状態です
ここに関しては過去話がメインで、問題解決は次からといった感じですね