ヴァンパイア十字界7-9巻を読んだ感想
全9巻なので、これで話は終わりです
とりあえず感想を端的に述べると最高です
1000年前の真実が明かされ、物語の伏線が一気に回収されて行きます
そこのネタ晴らしをしてしまうと、ほんとにもう台無しになってしまうので、
これに関してはもう何も言えないです
人間側の陣営である森島が、知らなければよかったと思ってしまう真実とは、
ストラウスたちは宇宙人を倒せるのか、
そしてストラウスと、ブラックスワンの決着は……
これがちゃんと全部片づけられます
1から6巻までに積もり積もったものが、全部回収されていく流れは、
もう7巻から読むのが止まらないこと請け合いです
なので読みましょう!
少なくとも虚構推理と絶園のテンペストが面白いと思えるなら、
これは絶対に面白いです!
というか個人的には、ヴァンパイア十字界と絶園のテンペスト、虚構推理を比較すると、一枚落ちてしまうと思うぐらいです
ただ終わり方に関しては好き嫌いあると思うので、そこに関してはよくなかったと思う人はいるような気がします
勧めるうえで中身に触れられないのが残念ですが、
ここをネタバレしてしまうと、推理小説の犯人どころか、動機からトリックまで教えてるようなものになってしまうので……
城平さんの原作作品を一つでも読んで面白い!と思ったらなら、こちらもお勧めします!
城平さんの漫画原作の作品といえば、
多分一番有名なのがアニメ化した絶園のテンペストなんじゃないかと思うんですが、
その前にガンガンで連載してたスパイラルとこのヴァンパイア十字界は、
名作なのに知名度があんまりなのが残念
スパイラルはまだアニメ化されてるだけ、まとめとかでたまに名前を見かけたりしますが、ヴァンパイア十字界は全然見かけないんですよね
でもこれだけ面白いんだから一度読んでみてよ!と言いたくて記事にしたわけです
もし少しでも興味を持っていただけたなら、ぜひ読んでいただきたい
きっと損はしないはずです
あ、ちなみに例に出してないですが私が知ってる限りあと一つ城平さんの原作漫画がありまして
天賀井さんは案外ふつうという漫画があるんですが
これも面白かったのは面白かったんですが、
4巻と割と短いので、伏線回収のカタルシスは、ほかの作品ほど感じられないかなといったところです
逆に4巻だけなので、まあちょっと読んでみようかな、っていうならちょうどいいボリュームかもしれないですね
以下ネタバレあり
さて、実際にこの作品を読んだのはかなり前なのですが、
最近読み直したので改めてこうして感想を投稿したわけです
なので何かというと、
めっちゃ感想語りたい!
読んでない人にネタバレするのはもうもったいなすぎるので、
ここを読み飛ばしてくれてると願って、書き連ねますが
ストラウスが眷属のために千年間戦い続け、
ブラックスワンの正体は実はステラだったということを知った後のレティシアの
「何だよ……ストラウスが何をしたんだっ! 何も悪いことしてないじゃないかっ!
ストラウスは立派な将軍だったんだろ!? お様だったんだろ!?
ずっとみんなのために苦しんだろ!? もっと悪いやつがいっぱいいるだろ!?
なのにこんなのってないよ! あんまりだよおっ!」
このセリフがね……ほんともう、泣ける
まあ実際ストラウスは人間もダムピールも殺してるわけで、
何も悪いことしてないとまで言い切るのはちょっとあれですが……
だからと言ってここまでひどい目に合う必要があるのか?!って言いたくなるレティシアの気持ちはめっちゃよくわかります
そのあと、ストラウスを追いかけた後の蓮火との問答もよくて、
1巻の1話で蓮火が守れなかったブラックスワンの小松原ユキを失い、
50年もの間どうしていいかわからず不毛に剣を振ってはい回るしかできなかった蓮火は見苦しい、しかしそれは小松原ユキを本当に思っているからこそであり、ストラウスが平静を保てているほうがおかしいのではないか
本当に思っているならこんな状況に耐えられず狂い死んでいるんじゃないのか? そもそも自分に心などあるのか? 心らしきものは少しばかり出来のいいプログラムが作っている幻に過ぎないのかもしれない、そんなおぞましい疑問を抱かずに済むなら耐えられないほうがいい
そういった後の蓮火の絶望したような顔がやばい
序盤からもうストラウスを殺すことばっかり考えて行動して暴走していた蓮火が、動けなくなるとかどんだけ……
完璧超人な主人公なら探せばいくらでもいそうですが、こんな思いもの背負ってる主人公はそういないんじゃないでしょうか
この作品主人公がすでに完成しきっているので一切成長要素がないわけですが、
それを補って成長したのは、案外蓮火なんじゃないのかと
戦闘力的な意味じゃなくて、精神的な意味ですが
最後まで蓮火が赤バラを許すことは当然ながらなかったわけですが、
初期の暴走状態してて、赤バラを殺すことしか考えてなかったのに、
最終決戦前には悩んでいるブラックスワンに対して言葉をかけ、
霊剣を渡してストラウスに勝ち目がある状況があれば、何も考えることなく全力で戦えるだろうと背中を押し、
最後にストラウスの死後、ブリジットがストラウスの罪が許されたといったのに対して、
「そうじゃねぇ、あいつは……あいつはようやく自分を許せたんだ」
と言って去っていく……
最終巻手前まではトラブルメーカー的な意味で目立っていましたが、
最終巻の蓮火はほんと成長したなあ……って思えましたね
最終的にストラウスはブラックスワンに倒されてしまうわけですが、
最後の最後でステラとの出会いの回想から、
「そうだなステラ……私はよくやったな…ならば、これでよしとしようか……」
このセリフからの黒鳥が消える、つまりストラウスが死んだことを示唆するシーン
ここだけでも落涙ものですが、
最後の
ローズレッドストラウス…最後のヴァンパイア王は確かに多くの人を殺した
大切なものを守れなかった罪深き王であろう
けどあの人は多くの人を救った 守るべきものを守り抜いた
この地球でさえ守ってみせたのだ
そのことを知る者たちよ
できるなら最後の王のために祈ってくれ
その魂に—―いと高き月の恩寵があるように
いやこんなん泣くわっ!!
ブラックスワンもなんとかなって、ストラウスも生き残って、
もう一度眷属の王に戻りました、みたいなハッピーエンドのほうがいい!っていう人はいそうですし、私自身ハッピーエンドのほうが好きですが、
こんな終わり方されてしまうと、もうこれ以外のものを望めないですね……
というわけで、ヴァンパイア十字界の感想でした